突然の「退職してほしい」…自己都合退職ですか?
2024/02/27
投稿者:石井英明テスト
せっかく心機一転、新しい病院での勤務が始まったばかりなのに、突然「退職してほしい」と言われてしまった——そんなショックな経験をされた方がいます。
本人としては、もちろんそのまま働き続けたい気持ちがありましたが、周囲の状況がそれを許さず、やむなく退職手続きを進めることに。しかも、退職理由は「自己都合」で処理されてしまったのです。
本来であれば、これは「会社都合退職」にあたるのではないでしょうか?
自己都合退職と会社都合退職の違い
① 自己都合退職とは?
結婚・出産・妊娠・引越し・体調不良・転職など、自分の意思で退職する場合を指します。多くの人が一般的な転職時にこの扱いになります。
② 会社都合退職とは?
解雇や退職勧奨、早期退職制度など、会社の都合によって契約が終了する場合が該当します。
会社都合退職のメリット・デメリット
【メリット①】失業手当が早く・多くもらえる
自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加え、約90日間の給付制限があり、手当の支給まで時間がかかります。
一方、会社都合退職では、7日後からすぐに失業手当の支給が開始され、支給期間も最大330日と長くなります(自己都合は原則150日まで)。
【メリット②】解雇予告手当を受け取れる可能性
解雇が30日以上前に通知されていなければ、**約1ヵ月分の給与(解雇予告手当)**を請求することができます。
医療業界では突然の解雇も珍しくないため、覚えておきたいポイントです。
【デメリット】転職に不利になる可能性も
「会社都合退職」と履歴書に記載があると、その理由を問われるケースがあります。
もしそれが「解雇」であるとすれば、「トラブルがあったのでは?」と疑われることもあり、転職活動に影響を及ぼすことがあります。
正当な「会社都合退職」として認められる理由
厚生労働省によれば、以下のような理由は会社都合退職に該当します。
-
解雇
-
事業所の廃止(倒産・閉院)
-
大量離職(1ヵ月で30人以上)
-
退職勧奨を受けた場合
-
遠方への転勤(例:通勤時間が片道2時間以上)
-
労働条件が著しく違っていた
-
賃金の未払いや大幅な減額
-
長時間労働(例:月100時間超の残業)
中には、遠方への異動を強制し、自己都合退職に追い込むようなケースもあります。こうした場合も、会社都合に該当する可能性があるため注意が必要です。
「退職届を出して」と言われたら要注意!
本来、会社都合退職には退職届は必要ありません。
しかし、会社から「出してほしい」と強く求められ、提出してしまうと「自分の意思で辞めた」とみなされ、自己都合扱いにされることも。
万が一、提出せざるを得ない場合は、「一身上の都合により退職」ではなく
**「貴院の退職勧奨に伴い退職」**など、会社からの要請であることを明記するようにしましょう。
特定受給資格者として認定されるには?
自己都合退職として処理されてしまっても、ハローワークで「特定受給資格者」として認定されれば、会社都合退職と同等に扱われます。
たとえば以下のようなケースが該当します:
-
通勤困難な場所への異動
-
労働条件の重大な相違
-
給与の未払い・大幅な減額
-
長時間労働(例:月100時間超)
-
雇止め(更新予定だった契約が打ち切り)
まとめ
冒頭のケースのように「退職勧奨を受けて離職した」場合は、会社都合退職に該当します。
さらに、解雇予告手当の支給対象にもなる可能性があります。
ブラックな医療機関では、巧妙に自己都合退職を迫ってくるケースもあります。
そんなときこそ、「会社都合退職に該当するのか」冷静に判断することが大切です。
一人で抱え込まず、ハローワークなどの公的機関にも相談し、自分の権利をしっかり守りましょう。